読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

えみごのメモ

ももクロと杏果

2011年10月16日②

ももいろクローバーZ
〜前回のあらすじ〜
テレ玉ももクロのライブやってる!ってなんやこれ〜


ステージにいたのはあの大嫌いなももクロ、ではなく悪の組織的なキャラクター。観客のカラフルなTシャツをモノクロに染め上げようとかなんとか。あのしばらく続く茶番は、特撮好きで本物のヒーローショーも見る自分の目には随分と陳腐に映っていたと記憶している。
そこにようやく現れたももいろクローバーZ。戦隊もどきのスーツにフルフェイスのヘルメット。お、おお...
メンバーが出てきても、特撮好きとしては見苦しい茶番が長々と続いているだけ。大きなヘルメットに不釣り合いな細すぎる身体、この子達何歳なんだろう、年下?てか、なんこれ?と思いつつ、なんとなくダラダラ見ていた。

ようやくやっとついにライブが始まった。と思ったら1曲目はあの大嫌いなCMソング。うっさ。アイドルもももクロもやっぱ苦手だわ。そんな感じで途中で鉄腕DASHに変えたりしながら、真面目に見なかった。

だから私は、7時半すぎくらいまではアンチももクロだったのだ。

そして運命の時がやってくる。

1曲目が終わり2曲目、明るく賑やかな1曲目とは打って変わってゴリゴリにかっこいいイントロが始まった。お?ちょっと目を奪われた。
"飼い馴らせない欲望を恥じるのなら..."
かっこよくて聴きやすい。ダンスもかっこいい。歌詞が、めっちゃいい。なんこれ... テロップの歌詞を追いながらまじまじと見ていた。そして...

"夢は迷うものでも迷わない ブレーキなんかいらない
ここは行っとけ 今だカッ飛べ アクセル ベタ踏みで行け
マイノリティーな弱気蹴散らす 鼓動はガチタテノリ
今日しかない気持ちで 勇気をためそう"

サビでもう完全に落ちてしまった。一瞬の出来事だった。
翌日アルバムを借りてきてからエンリピする運命にあるその曲は、CONTRADICTIONという。
テスト前でモヤモヤ病んでいる高校生の自分にはぶっ刺さりすぎる曲だった。まず歌詞が素晴らしい。曲が素晴らしい。「まだまだ諦めない」と感情的に歌う姿、激しいダンスもカッコよかった。

ももクロ、凄いのかもしれない。

初めは時々鉄腕DASHもチラ見しながら、最後はもうテレビ埼玉だけをじっくりと、見続けてしまった。
ももクロというより、そもそもアイドルやアーティストのライブ映像を見るという経験すらなかった自分には、初めて打ち込まれる刺激が多すぎた。
女の子が汗水垂らしながらアクロバティックに踊り舞う姿。
"福島の桃が大好きです!..."と東北に寄せた歌詞を涙目で届ける姿。
賑やかな曲を笑顔で演り終えた直後、切ない表情でバラードを歌い上げる姿。
ひとつひとつが感動的で、思わず涙が零れる場面もあった。さっきまであんなに嫌いだった「アイドル」の「ももクロ」に泣かされていることなど、どうでもよかった。プライドなんてなかった。

そして決定的な瞬間は、ライブ終了後の舞台裏の映像にあった。

ライブは終了しているのに、客席では鳴り止まないダブルアンコール。しかしもう会場の都合で本当に終わらなければならないようだった。そんな中、メンバーは泣いていた。

「もう一回出たい...もう一回みんなの顔が見たい...」

そう言ってわんわん泣く子がいた。その姿を見て自然と号泣しながら私の頭に浮かんだのは、ドラッカーの『マネジメント』で読んだ、「真摯さ」という言葉だった。
さっきまでの全力のライブは、本気でやりたくて、本当にお客さんに伝えたくて、やっていたんだなと、ふっと分かってしまった。仕事に対する物凄く真摯な姿勢が一瞬で分かってしまった。
この子達は何歳かは分からないが多分同い年辺りなのだろう。同世代の女の子が、こんなに真摯さを持って仕事をしている。その事実に驚きと感動と尊敬と、惨めさが湧いてきた。

そんな、日曜夜9時。

ももいろクローバーZのファンとしての第一歩を踏み出した10月16日だった。
もう4年も前のことになったが、あの放送後に残した日記を読み返したり、毎年思い出して書き記してきたおかげで、割と鮮明に覚えている。

あの時何故「ももクロ?見るかよそんなん」と、無視しなかったのだろう。訳わからん茶番や嫌いな1曲目の段階でチャンネルを回さなかったのだろう。
散々「運命だ」と結論付けてきたこの疑問に、4年の歳月を経た私の答えを書いてみると、「必然だった」という表現になるだろう。
あの時ああしてももクロに出会うのは必然だった。私の人生にはももクロちゃんが必要だった。今は自然と、そうとしか思えない。

ここまで来る道筋に何があったのか、4年前の私は知らないだろう。
まだ何も、知らないだろう。

2015年10月16日