杏果と歌

すぐ憶測で杏果の心を推し量ろうとするのはファンの悪いところではあるが、そうさせてしまうのが杏果の面白さでもある。
だからとりあえず思ったことを書いておく。

昨日更新された杏果のブログ。
一週間前から彼女を苦しませていた扁桃炎が完治したと明記されており安心したのも束の間、衝撃的な文章に心臓を突き刺された。

"マスク2重にして喋るのも控えて
お家では筆談で暮らしたりと
いろいろ頑張ってるはずなんだけどなぁ、、、"

初めて聞く話だった。杏果がポロッと零した嘆きのように感じられてなんだかゾクッとした。普段余りこういうことを言わない人だ。

マスク2重にして喋るのも控えて」というのは普通に想像してみても大分苦しいものだが、
家では関西弁でうるさいくらいに喋り続けるというあの杏果が、喉の治療中に喋れないことが辛いと言った杏果が、まさか「お家では筆談で暮らしたり」などしているとは...

確かに杏果は何度か大事な局面で体調を崩してしまった経験を持っているし、今も決して強すぎるわけではない喉を持っている。
反省や悔しさや申し訳なさ等を踏まえた上で徹底した管理をしようというのは自然な話なのだろうが、しかし、
そこまでしているとは思わなかった。
辛いだろう。正気の沙汰ではないと言えるほどのことをしているんじゃないか。

何のためにそこまでする?できる?
メンバーのため?
ファンのため?
まずそれは物凄く大きいものだろう。「もう迷惑や心配は掛けたくない」という気持ちを、大きすぎるまでに持っているであろうことは容易に想像がつく。

それでもやっぱり、それ以上に杏果が抱えている想いは
歌のため
だろうと、率直に感じた。

5日前、扁桃炎の治療中であるにも関わらず点滴の針を刺したまま生放送で鋭く歌い上げた姿を見て、杏果の歌への執念には十分驚かされていた。
振り返ってみても、もう十分上手くなりきったと思わせてもなお毎月毎月歌が上手くなる杏果、計画的に努力を重ねるスタンスだから壮大な未来のビジョンなど殆ど口にしないのに「一生マイクを持っていたい」という願いだけは何度も何度も繰り返す杏果だ。
歌うためならば、2重のマスクで呼吸が苦しくても、あまり喋れずに寂しくても、大好きな家で言葉を発せなくとも、仕方がないと、杏果はきっと思っている。
そこまで対策しても運悪く病に罹ってしまったのならば、その状態で出来る全てを尽くして、歌うのだ。

普通の歌手もそういうものなのだろうか。それは分からないけれど、少なくともアイドルとしては尋常ではない。
杏果が努力家であることも歌を愛していることも十分知っていたはずなのに、こちらの想像を遥かに超える場所に彼女はいたのだ。

きっと偉大な野球選手はいつも野球のことを考えているし、素晴らしい社長は会社のことばかり考えている。ノーベル賞を獲った科学者はいつも自分の研究のことを考えている。そんな領域で杏果は歌と共に生きているんじゃないか...
なんだか杏果の生き様が羨ましくすらなった。歌と出会い、歌への情熱が芽生え、そして今歌うことを本気で愛して真っ直ぐ向き合っている杏果は本当にキラキラ輝いている。
水面下にストイックすぎる努力があるとしても、歌っている杏果はとても幸せそうなのだ。歌う職業は杏果の天職なのだ。
なんだかあのブログの数行から、そんなことまで感じてしまった。(これだから杏果は面白い) 

だからもう風邪とか病気とかにしないでくれと、神がいるのなら願いたい。
いつだって笑顔で歌っていてほしい。
そして改めて有安杏果さんの歌を一生聴いていたいと思った。

まずは今年の紅白歌合戦で、杏果が元気に歌えますように。