CAPA6月号

近所の書店に足を運び、今までの人生で何百回も訪れているいつものカメラ雑誌コーナーへ直行した。
昨日までの1ヶ月間CAPA5月号を確認していた棚を真っ先に見たのだが、姿が見えない。あれ?と視線を落とした瞬間、彼女と目が合った。発売日のカメラ雑誌は下に平積みされており、様々なモデルさんや猫、羽生選手らが並ぶ中に緑の姫はいた。
杏果がCAPA6月号の表紙を撮影したあの日から、今日という日を心待ちにしていた。杏果がカメラ雑誌の表紙を飾るなんて夢のようだった。ようやくその日が来て、その雑誌を手に入れ、部屋に帰り袋から取り出したのだがなんというかいまいち現実味がない。表紙の画像を一昨日から散々見ていたせいだろう。
一番に杏果のページを開いてしまったらこのフワフワとした感覚のまま読み終わってしまうような気がして、1ページ目から丁寧に読んでいくことにした。

【以下ネタバレ】

1ページ目のスナップショットに早速心を奪われ、立木さんのインタビューを読んで面白く思っていたところにファーストインパクト。次のページ、目次のページ、右上、カメラを持ってお茶目に首を傾げる杏果さん。表紙裏表紙特集以外にも彼女がいるなんて予想外だったし、あまりにも可愛いから意識を失いそうになった。このお写真は杏果推しがめっちゃ好きなやつだろう。
我に返り、1ページずつめくっていった。機材紹介で早速杏果のαが出てくる。これは最新機種α9の紹介で杏果のα7IIはスペック比較に出てくるだけなのだが、まあ反応してしまう。読んでいるとα9が普通に欲しくなってくる。54万円だけど。
次に表紙で杏果が構えているD7500が出て来た。というか杏果もこうやって1ページずつ読んでいくんだろうなということに思い当たり嬉しくなった。16まんえんのカメラは買えないけれど読むのは面白かった。
そしてメインの鉄道写真の特集が始まった。鉄道写真を撮る人ではないけれどとても面白かった。ひとつひとつの写真が綺麗で、撮り方を読んでみるとへえ〜なるほど〜という感じで、こんな写真が撮れたら最高だなあと思った。杏果もそう思いながら読むんだろうか。
特集が終わり次のページ、α7IIキャッシュバックキャンペーンの広告が載っている。ダイレクトなマーケティングすぎる。ずるい。
それでその後は色々紹介があって、白黒のページを色々ほ〜んと思いながら読んでいって、梅雨の花のある風景特集に辿り着いた。こちらにもとても惹かれた。
そしてオリンパスの記事があってクリエイター向けPCのページがあって次もそんな感じだろうとページをめくった瞬間、びっくりして戻してしまった。

ついに有安杏果のページだ。ここまで同じように読んできた一般読者も、こういう風に少し驚くのだろうかと思うと胸が熱い。
これは杏果が大学を卒業してから初めてのしっかりとしたインタビューで、写真のことについてガッツリ触れる初めてのインタビューになっているだろうから、一文字一文字真剣に読んだ。まずはこなれた手つきでカメラを構えている素敵な写真を味わってから。
結果的に、ものすごく良かった。あまりにも良すぎた。4年前に我々が知ることのできなかった、そして今日まで知ることのできなかった、大学受験のこと。いつの間にか杏果が使うようになっていたD600との最初の思い出。作品だけは見ていたものの詳しい意図は聞けていなかった卒業制作「心の旋律」について。結構知りたかった、カメラを持っている時の杏果の意識。結構気になっていた、これからの展望。さらに初出しの写真3枚。突然現れたCanonのカメラ。
時を超えて、一番知りたかった秘密が明かされていく。今まで知りえなかった杏果がそこにいる。もう胸がいっぱいすぎて呆然としてしまう。もうダメだ。
その後のページは写真だけじっくりと見ながら本文はさくさくと読み進めていき、編集後記のページで杏果と土屋さんの可愛いツーショットを見つけて発狂し、最後に可愛い裏表紙を拝んだ。

この雑誌を読めたことの本当のエモさを語るには、今までの4年間のことをしっかりまとめなければならないくらいだ。まあ私のようなファンならみんな分かるだろうからそれは置いておく。
今回の事の重大性は、一般人としての杏果が大学受験を突破し日芸に入学し4年間秘密裏に写真学科で修業し二つの賞を携えて話題性のある卒業を果たしたことの成果が、芸能人としての杏果の活動にはっきりと還元された初めての事例だということにある。杏果が仕事と並行しながらこっそり大学に通ったり写真を撮ったりしていたおかげで、ある雑誌の表紙と特集を任されたということだ。その仕事は有安杏果の名もももいろクローバーZの名も広げるもので、夏菜子がべっぴんさんに出て世間に知られるのと同じような効果を持つものだろう。今まで完全にプライベートで重ねてきた努力が、やっと公のアイドル活動に繋がったのだ。それがCAPA6月号。ただの雑誌じゃない。
特集の内容自体はファンにとってもカメラ好きの一般読者にとっても初めて触れるものだけれど、ファンにとってはやっと明かされた真実という感じで感動してしまう特集だし、一般読者にはももクロの人がそんなことをやっているのかという新しい発見をもたらす特集で、その、双方に効果的だという構造は面白いしこの雑誌の価値をさらに高めている。
いやあ本当に良かった。CAPA6月号という現象は尊い。CAPA編集部に要望を出していたらしいモノノフの方々ありがとうございます。

写真学科時代の話も重要なんだけれど、一番の収穫は写真に対する杏果の態度を知ることが出来たということだ。
カメラを持っている自分が自然体に近い。日常の中の何気ないものを撮りたい。ありのままの自分でシャッターを切る。
そういうことだったのか、と納得した。今回1ページ目から雑誌をめくる中で沢山の写真を見たが、それと比べてみると杏果の写真はシンプルだと思った。奇をてらったりかっこつけたりしていない。今まで杏果が出してきたブログやももカメラの写真もまっすぐな写真だった。そこで「自然体」「日常の中の何気ないものを」「ありのままの自分で」という思いを読んでなるほどと納得した。とても納得した。
「技術が全然及ばない」と言いながらも、技術がある風に撮ろうとするのではなくありのままで撮る。そもそも、ありのままの自己表現がしやすいレンズを選ぶ。それでもありきたりということではなくてそこには独自の自己表現があり、集大成としての卒業制作は唯一無二の作品として評価されている。
この感じ、どこかで・・・と思ったら、杏果の作詞活動だった。それこそが一番の自己表現になると自覚しているからこそ、かっこつけずにありのままの気持ちを表現する。多分そんな姿勢が杏果の芯にあって、一人きりですぐに完結することのできる写真撮影ではその芯が最も澄んだ形で反映されている。
同じなんだ。やっぱり杏果なんだ。そういう風に思えて嬉しくなってしまった。

あと、そんな中でも「アイドル活動をしている自分にしか撮れないもの」を武器にしているのはしびれる。そもそもの始まり、大学受験で提出した写真が武道館ライブ(2012年の女祭りか男祭りだろう)の裏側の過程を収めたものだなんて、ねえ。泣いてしまう。

今や杏果はステージに立ったり仕事をしている時間だけでなく、プライベートの時間でも作詞や撮影を通して活動ができてしまうということだ。私は杏果が好きだから、杏果の表現が増幅されたことが嬉しいし、さらなる可能性にもワクワクさせられる。音楽活動と写真のリンクも考えているようで、今後の杏果がすごいことになっていく予感しかしない。
写真展や写真集もいつかは、と言ってくれたことが本当に嬉しかった。全力で待ち続けよう。

そんな感想を持たされたCAPA6月号だった。買うのは当たり前だけれど本当に買って良かった。
CAPA6月号は杏果の、なにか大きな節目であると思う。全国の書店のカメラコーナーに杏果が並んでいるこの1ヶ月間は、とても神聖な時間だと思う。その1ヶ月間、杏果はひたすらライブの準備をして、その後あの卒業制作と共に名・阪・東を巡る。きっとその先に新しい杏果が待っている。楽しみだ。
あとは自分も無性に写真が撮りたくなった。音楽はやらないけれど写真ならやってきた。写真でなら杏果と少しだけ通じ合える気がして嬉しい。私もまた私らしく撮っていこう。
興奮しすぎて乱雑な感想になってしまったが、とにかくCAPA6月号は宝物だ。本当にありがとうございます。みなさん買ってください。